統合医療・実践報告シリーズ

 統合医療・実践報告シリーズ 第4回
 がん免疫療法とサプリメントの戦略的投与。
 「統合医療展」 講演録より

 東京衛生病院健康増進部長 水上 治

 健康人でも毎日万単位のがん細胞の芽が発生している。リンパ球やマクロファージなどの免疫力が、これらを殺傷し、体を守っているのだ。がんの原因は免疫力の低下とも言える。では、どうすれば、免疫力を高めることができるか。そのカギを握るのが統合医療とサプリメントの戦略的投与だ。


 なぜ免疫療法が必要か。  

がんに対する免疫力とは、 リンパ球やマクロファージなどによるがん細胞の殺傷能力のことである。 がん撃退のメカニズムを要約すると

(1)マクロファージがん細胞を食することによって提示する情報をヘルパーT細胞がキャッチする。 次にヘルパーT細胞がインターロイキン2というサイトカインを分泌することによってキラーT細胞に伝達する。 情報を受けたキラーTは活性化してアミーバ運動を繰り返してがん細胞をアタックして細胞死に至らせる。
(2)マクロファージは同時にがん免疫において最強の物質であるインターロイキン12を分泌する。 インターロイキン12から情報を受け、 活性化したナチュラルキラーT細胞やナチュラルキラー細胞ががん細胞を攻撃してやっつける。 といったところである。

こうした基本的機能が体内で十全に行なわれていれば、 われわれはがんを免れることができるが、 がんによって免疫力が低下している人はこの能力が非常に弱っているわけだから、 少しでも基本状態に引き上げる努力をすることが重要だ。

生体には、 1兆個以上のリンパ球が存在し体を守っている。 健康人でも毎日万単位のがん細胞の芽が発生していることは間違いない。 臨床的ながんになるか否かの差は、 免疫力の差であると言える。 ほとんどのがん患者の免疫力は低下していることを私は確認している。 突き詰めれば、 がんの原因は免疫力の低下であると言って間違いない。 しかし、 西洋医学では、 積極的に免疫療法を行っていないのが現状だ。 西洋医学の三大がん治療 (手術・化学療法・放射線療法) は、 ガンをえぐりとったり、 叩き潰したりすることによってがん細胞の絶対数を減少させるが、 免疫力を改善しようとしないからがんが根治しにくい。 体全体の免疫力を高め、 がんにむしばまれやすい体質を根本的に改善していくのが真のがん治療だと思う。 がん患者の免疫力が上がれば、 進行は遅くなり、 再発・転移しにくくなる。 従来のがん治療は、 QOL (生活の質) を軽視してきたと言わざるを得ないが、 免疫療法はQOL改善を重要視する。 そもそも現在の日本の医療はがんが生活習慣病であるという認識が欠落している。 高血圧、 高脂血症、 糖尿病、 肥満といった生活習慣病は厚生労働省も医師に診療報酬の請求を認めているが、 がんには適用されていないというのがその証左だ。

 サプリメントの導入例。  

私のがん免疫療法の実際について語ると、 がん患者に対し、 心理療法、 食事療法、 運動療法などと共に、 サプリメント療法を行い、 良い臨床的な効果を得ている。 サプリ療法は健康保険の適用を受けていないので多少お金がかかってしまうのが唯一の弱点であるが、 三大療法と組み合わせることもできるし、 自宅で気軽にできるといった長所はそれを埋めてあまりある。 サプリメントには、 栄養補助サプリメントと、 ハーブ的な、 薬理効果を期待するものとがあるが、 私はサプリメントをわかりやすく説明するために大きく右記の種類に分類している (表1)。

抗がん剤でも、 通常2〜3種を組み合わせて使うのと同じ理由で、 違うタイプのサプリメントを組み合わせ、 相乗効果をねらう。 例えばキノコを何種類も使うのでなく、 キノコ1種と樹皮系1種、 乳酸菌系1種というように、 各グループから一つずつピックアップして、 違うタイプを組み合わせている。 基本的には、 3ヶ月くらい使ってみて、 腫瘍マーカーの変動具合、 画像診断での腫瘍状況、 自覚症状などをもとに大まかに評価していく。

また、 抗がん剤では部位などの病理学的特徴によって使い分けされているが、 私の場合、 サプリメントではそのように使っていない。 腺がんでも、 扁平上皮がんでも、 未分化型でも、 本人の免疫力が向上すれば十分闘える、 と考えている。 そのサプリメントがその人の体質に合っているかどうかの方が重要である。 胃がんにも、 白血病にも同様に使っている。 また、 取り扱うサプリメントを選定する際には、 安全性 (毒性・副作用がない)、 栽培条件、 製法の過程、 メーカーの信頼性、 科学的データ、 使い勝手 (臨床的手ごたえ) 等をチェックする。 サプリメントの臨床データが乏しいというのは事実。 もっと臨床データを出していかないとサプリメントは市民権を得ることができないと思う。 少なくとも医者は使いづらい。


 統合医療とサプリメントの戦略的投与。  

私が目指すがん治療は統合医療であり、 すなわち、 いいとこ取りの医療である。 三大療法は確かにパワフルだが、 副作用が多く、 免疫力は上げない。 代替療法は、 パワーが弱いが、 治癒力を上げようとし、 副作用は殆どなく、 QOLを改善する。 それぞれ相補的なので、 うまく組み合わせていくのが望ましい。 実際、 経過の良好ながん患者は、 ほとんど上手に統合医療を実行できた人だ。 西洋医学にも代替医療にも詳しい医師が適切にアドバイスし、 最終的に患者に選択してもらうのが、 理想の医療であると考える。 西洋医学、 代替療法などといった垣根を取り払い、 長所を発揮し合うならば、 がんはもっとコントロールできるようになるはずだ。

例えIII期、IV期でも、手術直後からサプリメントを開始することで、 再発防止できている例は非常に多い。 西洋医学のみの場合に比べ、 再発転移率が低いことは間違いない。 サプリメントの使用は、 化学療法や放射線療法の副作用を減らす効果が強い。 進行がん、 再発転移がんについては、 サプリメントを主体とした免疫療法で、 QOLの改善、 進行遅延はほとんど全例に見られる。 ほぼ停止例も多く、 縮小・消失例もまれであるが見られる。 私見ではあるが、 サプリメントを用いた治療は将来的には標準治療になってくると思う。 3大治療をやりながら、 賢くサプリメントを摂取してその益を体験していく、 そんな時代がやってくると思う。


表1サプリメントの機能性による分類

1)栄養剤

良い栄養が免疫力を上げる。 進行がんの人は、 栄養状態が悪いので、 必須である。
(例) ビタミン剤、 ミネラル剤、 ファイトケミカル剤など。

2)抗酸化剤

活性酸素・フリーラジカルを抑えることで、 初発のみならず、 再発・転移を防ぐ効果を期待する。
(例) 野菜エキス加工品、 パパイヤ加工品、 ブドウ種子ポリフェノール、 ピクノジェノール、 アスタキサンチンなど。

3)乳酸菌製剤

腸内の乳酸菌の質と量を変えて、 免疫力を改善しようとするものである。
(例) 乳酸桿菌の生菌、 乳酸球菌の死菌、 乳酸菌生産物質など。

4)茸製剤

主成分はβ1.3-1.6グルカンであるが、 キノコによって異なる免疫賦活作用物質が含まれる。
(例) アガリクス、 マイタケ、 メシマコブ、 霊芝、 カワラタケ、 マンネンタケ、 ハタケシメジ、 タモギタケ、 ヤマブシタケ、 ハナビラタケなど。

5)樹皮製剤

いろいろな樹皮のエキスには、 免疫賦活作用がある。
(例) プロポリス、 タヒボ (イペ、 ラパーなど)、 チュチュアサ、 松抽出物など。

6)アポトーシス

(細胞自殺)誘導剤,がん細胞のアポトーシスを誘導しようとするもの。
(例) 環状重合乳酸(CPL)、フコダイン、低重水素水など。

7)腫瘍血管新生阻害剤

腫瘍の周りに新生する毛細血管をできにくくして、 腫瘍への栄養を増やさず進行を防ぐもの。
(例) 鮫軟骨、 鮫脂質、 鮫軟骨水溶液など。

8)天然の抗がん剤

がん細胞を直接殺戮する成分を含むもの。
(例) ビワの種で、 レトライルとかアミグダリンともいわれているもの。 9)その他の免疫賦活剤, (例) アラビノキシラン、 キトサン、 エゾウコギ (刺五加)、 田七人参、 キャッツクローなど。

(Medical Nutrition 78号より)


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