医療経済とCAM

 『CAMと言う言葉を聞いたことがあるか?』医療従事者は一割。

 メディカル&メディスン・リサーチ代表 松田 孝

 今年のCAM・学術集会で発表された「CAMの意識調査」によると、医療従事者の認知度がまだまだ低いことが明らかにされた。CAMという言葉を知らなくても、 実際の医療現場ではCAMは行われており、にもかかわらず 患者の身体全体から病気を診るCAMの発想がなかなか醸成されていない。


 年代が高くなるほどCAMと言う言葉が知られている。  

今年のCAM・学術集会の一般演題44題を振り返って見ると、 ガンに関係するテーマが10件、 アトピー性皮膚炎に関するテーマが2件、 抗疲労に関するテーマが2件、 この他、 抗肥満、 関節炎、 血圧関連、 月経困難症、 前立腺疾患などが報告されていた。

また、 44題の中で食品成分 (生薬等漢方を含む) が関与するものが39題、 残り5題は 「糖尿病とマクロファージ変動の検証」、 「タバコ主流煙中の有害物質除去」、 「ハーブ」、 「半導体ゲルマニウム貼付と筋力」、 「CAMの意識調査」 であった。 この意識調査は、 長野県塩尻市にある塩尻協立病院での医療従事者へのアンケート調査で、 調査対象職員123名に対して行われ116名から有効回答を得ている。 これによると 『CAMと言う言葉を聞いたことがあるか?』 との質問で 「ある」 と回答した職員は11%、 「ない」 との回答は85%であったとの事。 職種別では、 医師では3名中2名が 「ある」 と回答、 看護師は51名中5名が 「ある」 と回答、 介護福祉士・看護助手では25名中4名が、 理学療法士・作業療法士・マッサージ師の8名中2名が 「ある」 と回答しているのに対し、 薬剤師 (6名)、 栄養士・調理師 (7名)、 事務職員 (13名) で 「ある」 と回答した者は一人もいなかった。

「ある」 と回答した職員を年齢別にみると20歳代が7%、 30歳代が12%、 40歳代14%、 50歳代17%で、 年代が高くなるほどCAMと言う言葉が知られている。 CAMの利用の経験がある者は78名 (67%) との事で、 CAMと言う言葉を知らなくても、 CAMと意識せずにCAMを利用している様で、 その内容としてはマッサージの利用が38名 (33%)、 栄養補助食品の利用が32名 (28%)、 漢方薬27名 (23%)、 鍼16名 (14%)、 カイロプラクティク13名 (11%)、 アロマセラピー12名 (10%) の順で報告された。

我国の病院 (医療機関) の全てで西洋医学を行っているが、 現実には、 西洋医学に加え院内では漢方薬が処方されているし、 理学療法等ではマッサージや鍼灸も行われている。

CAMと言う言葉を知らなくても、 実際の医療現場ではCAMは行われているのだが、 患者の身体全体から病気を診るCAMの発想がなかなか醸成されていない、 いい例であろう。


 アニマルセラピーや温泉療法など幅広い演題の発掘に期待。  

さて、 話題を変えてCAMの1つであるアニマルセラピーを考えてみよう。 この秋の日本アレルギー学会や日本小児アレルギー学会でもシンポジウムで取り上げられたテーマなのだが、 アレルギー素因とペットとの関わりの良し悪しの問題である。

近年、 患者の精神的安らぎを求めて、 アニマルセラピーを取り入れている医療機関が増えてきた。 特に高齢化家庭や核家族化でペットとしての犬や猫が家族の一員としての地位を獲得していると言っても過言ではないが、 アレルギー素因を持つ患者の像悪因子となっている事は国内での報告で明らかだ。 老人病院等でも犬などの動物を院内で飼育している所もあるが、 ペット由来の異種抗原と接する訳だから喘息等のアレルギー疾患患者の症状悪化因子であるリスクを考えると好ましくない。 話が横にそれた様だが、 CAMの学術集会も 「食品応用による疾病予防・治療」 に加え、 アニマルセラピーや温泉療法、 音楽療法等もっと幅広い演題の発掘を目指すことを期待したい。


(Medical Nutrition 69号より)


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